卵巣凍結:不妊治療に生かす新手法 東大など開発
毎日新聞 2012年08月03日 19時23分
卵巣の一部を凍結保存し、不妊治療に生かす新しい手法を、東京大と米ハーバード
大のチームが開発した。食品の冷凍保存などに普及している「過冷却」を応用し、細
胞を安全に凍結できるのが特徴で、がん患者が薬や放射線治療による不妊のリスクを
回避し、治療後の生殖補助医療を受けやすくなるという。チームは2年後を目標に日
本の大学病院などで、この方法が利用できるよう体制を整える計画だ。
ハーバード大の森口尚史客員講師(幹細胞医学)らは08年、子宮頸(けい)がん
と診断された20代後半の米国人で治療前に腹腔(ふくくう)鏡手術を実施し、卵巣
の表面を1センチ角の大きさで40枚分切り取った。がんの治療後、凍結保存してお
いた一部を解凍し、卵母細胞(卵子のもと)70個を採取。このうち5個を女性の卵
管内で24週間育てたところ、成熟した卵子5個を得た。女性はこの卵子で体外受精
に成功し、現在妊娠中だという。